
「若い頃は“妖艶”と言われることに、すごく抵抗があったんです」。艶やかに女心を歌い上げる藤あや子(65)からは意外な言葉だが、「普段の私は全然色っぽくない」からだと笑う。
「ステージではイントロが始まった瞬間にスコーンと演歌の中の女性に憑依するんです。どうやって歌ったのかわからなくなるほど、入り込んじゃう。別人に変わる感覚なんです」
実像とのギャップに違和感があったが、年齢を重ねて心境は変化した。
「着る服によって普段と違う自分に変われるように、歌が私の秘めた一面を引き出してくれると感じるようになったんです。色っぽい自分に変身できるスイッチとして、妖艶という言葉を今は心地よく受け止めています」
【プロフィール】
藤あやこ(ふじ・あやこ)/1961年5月10日生まれ、秋田県出身。1989年に『おんな』でデビュー。1992年に『こころ酒』で第25回日本有線大賞を受賞。NHK紅白歌合戦に21回出場、代表作に『むらさき雨情』『女泣川』など。最新曲に、大切な人を思う等身大の藤あや子からのメッセージを綴った『想い出づくり/小さな鐘の音~ラ・カンパネラ~』。
取材・文/渡部美也 撮影/野口貴司 写真は「WebLEON 美しい人」より
※週刊ポスト2026年8月7日号


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